２６日のヤクルト戦（神宮）に先発する巨人・菅野智之投手（２５）が２４日、打率、本塁打でリーグトップで、今３連戦中のトリプルスリー達成を狙う、山田哲人内野手（２３）との真っ向勝負を誓った。今季初対戦では本塁打を打たれたが「自分のボールを投げられれば対等に、互角の勝負ができると信じて逃げずに頑張ります」。ポイントゲッターの強打者を封じ、過去５登板未勝利の神宮初勝利、球団４７年ぶりの入団１年目からの３年連続２ケタ勝利を目指す。
　一歩も引くつもりはない。Ｇ球場での練習後、菅野は絶好調の山田について聞かれると、対戦のイメージを膨らませ、自信を持って言い切った。「自分のボールを投げられれば勝負できると思います。逃げずに頑張ります」。次打者の４番には打点トップの畠山が控える。避けて通れない強打者に対し、真っ向から立ち向かうと誓った。

　山田には６月２８日、神宮での対決では、内角低めの難しいシュートを左翼席に運ばれ、決勝２ランを浴びるなど３安打を許した。先日はプロ野球タイ記録の４打数連続本塁打などさらに調子を上げているが、「あの時は厳しい球を打たれましたが、打っているのは甘い球（が多い）」と冷静に分析。今季の対戦成績は６打数３安打の打率５割だが、恐れず、制球に細心の注意を払っていく。
　前回２０日の阪神戦（東京Ｄ）では、藤浪との息詰まる投手戦を制し、１失点完投勝利。登板を重ねるたびに状態は上向き、手応えを感じている。「スピードも上がってキレも出てきている。もう半分くらいギアを上げたい」。山田との力勝負、負けるつもりは全くない。
　チームは、２５日登板予定だったマイコラスが蓄積疲労で登録抹消。小山、菅野が中５日で１日ずつ前倒しとなった。「小山さんと、『こういう時こそ自分たちの出番』と話した。自分たちの株を上げるチャンスだと思って力に変えて頑張ります」。闘志がみなぎっている。

　首位・阪神と２・５ゲーム差で、残り２７試合。原監督は「山田は年々進化している」と相手をたたえつつ、「待ったなし。一戦必勝だよ。このチームで戦うしかないわけだから」と語気を強めた。
　菅野も置かれた状況は分かっている。神宮は過去、５登板０勝３敗だが「意識するしないより、ここまできたら自分の相性なんて言っていられない。自分のことで迷惑をかけられない」と強い気持ちでマウンドに上がる。
　勝てば１０勝目。巨人では、堀内恒夫（１９６６年から１３年連続）以来、４７年ぶりとなる入団１年目からの３年連続２ケタ勝利となるが、「本当の勝負はここからなので」と菅野にとっては通過点。３割、３０本塁打、３０盗塁の「トリプルスリー」も射程内の山田を封じ、チームをＶ４へ加速させることしか頭にない。

　２６日のヤクルト戦（神宮）先発に向け、神宮外苑でダッシュなどで調整。今季は９勝８敗。勝てば巨人では堀内恒夫以来、４７年ぶりの入団１年目から３年連続２桁勝利となるが「本当の勝負はここから」と平常心で臨む。

今日菅野だよね。

大田泰次の高校時代の先輩？

この防御率で貯金０になるのか
( ノД`)…

　じわじわ追いつめられた。根比べの結末はまさかの押し出しとなり、菅野は肩を落とした。４回２死満塁で、打席には投手の小川。３球で簡単に追い込みながら、ファウルで粘られ、フルカウントからの１１球目が高めに外れた。「抑えなければいけなかったが、粘れませんでした。技術不足です」。プロ３年目で、初めて投手に与えた四球。勝負どころで痛恨の制球ミスだった。
　魔の４回について「中村を歩かせたのが良くなかった」と８番打者への四球を反省したが、小川への投球で一気にリズムを乱した。続く比屋根には初球から３連続ボールで最後は押し出し四球。川端にも３ボールとして５球目を右前適時打された。この回だけで５１球を要し４失点、今季最短４回ＫＯ。降り続く霧雨が涙雨のように映った。
　調子は悪くなかった。初回に絶好調の山田から直球で空振りを奪うなど、球威があった。３回２死一、二塁でも、山田を内角１４６キロの直球で見逃し三振。力強く右拳を握った姿には気迫が満ちあふれていた。それだけに、原監督は「調子は非常によく見えた。あれ（小川への四球）でリズムを崩した感じはした」とエースらしからぬ投球を嘆いた。

　２０日の前回登板は、阪神・藤浪との投手戦を１失点完投で制した。夏場に入って１５０キロを計測するなど、状態が上がっていたのは間違いない。「まだ自分の中では９０％。１００じゃない。気持ち的にそう思っておくことが大事だと思う。勝負は９、１０月なので」。強い気持ちでチームを支えるが、これで９勝９敗の貯金ゼロとなった。
　プロ入り以来、神宮では６登板で０勝４敗。鬼門での初勝利はまたもお預けとなった。「後ろばかり向いていても仕方ない。前を向いていきたい。今回の結果を受け止め、次はしっかり自分の投球をしたい」。顔を上げ、苦境を打破していくしかない。

　ピッチャーが長い回を投げ抜くために必要なことは、何ですか？　西武担当をしていた数年前、そんな質問を当時の渡辺久信監督にぶつけた。現役時代は２７７試合に先発し、１０５完投をマークしたナベＱ監督は、タバコの煙をくゆらせ、答えてくれた。
　「『憩いの時間』を作ることだよね。１番から９番まで、全員に全力投球していたら、身が持たない。上位やクリーンアップに力を注いで、下位ではうまくペースを落とす。だからスコアボードを見ながら、下位を『憩いの時間』と呼んで、ペース配分していたんだ。名投手はみんなそうだよ」

　今夜の神宮。０―０で迎えた４回２死一、二塁のピンチ。菅野と小林のバッテリーは８番の中村を四球で歩かせ、９番・小川との勝負を選んだ。この時点でライアンの打率は１割５厘。無失点で切り抜けられる自信は、十分にあったことだろう。
　だが、小川には数値化されない“武器”があった。それはほとばしる勝利への執念だ。満塁の好機を、絶対無駄にはできない。食らいつくんだ―。