演壇での記名投票は「時間のムダ」…安野貴博参院議員の「主張」は一理ある？
2025年10月21日

自民党の高市早苗総裁が10月21日、国会の指名選挙を経て、第104代首相に就任した。
首相指名選挙は、衆参両院の本会議場で議員が1人ずつ演壇に足を運んで記名投票する方式。戦後の新憲法で現在の内閣制度になってから、80年近く変わっていない。今回も投開票には、衆院で約40分、参院では1回目に約30分、決選投票に30分弱を要した。
こうした仕組みについて、今夏の参院選で初当選したAIエンジニアの安野貴博氏（チームみらい）は、投開票にかかる時間が「無駄」だとして、その分をさまざまな合意形成や利害調整に充てるべきだと訴えてきた。
安野氏の問題提起を、どう受け止めればいいのか。

安野氏は、10月2日の記者会見>>262でこう語った。
「儀式性と、実際の効率性のどちらを重んじるべきかという論点だと認識している。特に与党が過半数を割っている中で、ややもすると何も決められなくなってしまう状況にある」
その上で、ざっくり計算すると、投開票にかかる1時間に国会議員数の約700人をかけて「700時間・人」分のリソースがあると指摘。

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「その『700時間・人』でうまくコミュニケーションを図って、一つでも多く合意を生むことが重要なのかなと思う」と述べた。

記名投票は、今夏の参院選直後の8月に行われた参院の正副議長選挙でも行われ、選出に約50分を要している。
バッジをつけて間もなかった安野氏は、その後に出演したインターネット番組>>137で「その時間を利害調整に使えれば、新たな合意形成ができたかもしれない」と主張。
議員歳費の金額を時間で割ると、248人の参院議員が1時間近くを費やしたことで「単純なコストで200万円かかった」──との試算も披露した。

議会制度に詳しい拓殖大の河村和徳教授（政治学）も、演壇での投票について「牛歩戦術などによる時間闘争に利用される可能性がある」とデメリットを挙げ、「時間の有効活用を模索するべきだ」と話す。